いわば、ひとのちからは、ちえにもとづく。なぜなら、ひとのちえは、
げんしこうぞうのちしきをふくむから。げんじつせかいのすべては、
すなわち、ぶつりげんしょうのはたらきをゆうする、ぶつりこうぞう
にある。このげんしょうこうぞうが、さいしょうたんいであるげんし
によってこうせいされる。げんしそのものは、こまかくてめにみえな
いが、このちしきをりかいして、げんじつせかいのすがたとしてしん
じることが、ひとのちからとなる。つまり、ひとのちからが、ちえの
はたらきにもとづくちからとなる。めでちょくせつかくにんできない
が、これを、ただしいちしきとしてこころでしんじることが、ちえで
ある。げんじつにおける、げんしょうと、それがきいんするこうぞう
と、そのせいかくなさいしょうたんいをふくむちしきによって、ここ
ろが、じっさいのげんしょうにかなうちえをもつことで、しんじるは
たらきとなる。このはたらきのおよぶところがちからである。つまり、
ちからとは、おおきさよりも、せいかくさが、よりじゅうよう。なぜ
なら、もくてきにおうじたちからを、はたらかせるためである。いわ
ば、このはたらきとしてのちからが、もくてきをみうしなうじてんで、
まよいといえる。ひとはがんらい、おおくのもくてきをゆうするため、
はたらきが、つねにふあんていで、ちからのおよぶところがさだまら
ず、こころはまよいやすい。しんじるということは、つまり、こころ
が、もくてきにおうじてはたらくように、さだめること。そのために、
ちしきがただしければ、げんしょうこうぞうにおうじて、もくてきを
さだめることができる。あるいは、もくてきにおうじて、はたらくち
からをかげんできる。さらには、もくてきをつねにこだわらずとも、
ちしきのかたちをちえとして、こころがちからのはたらきをやすめて、
まよいをおおきくしないということができる。これが、しんじるちか
らとしていえば、こころをやすめるというはたらきをもつことが、そ
のちからのとくちょうである。また、しんじるところからまなぶなら
ば、たいせつなじんせいのもくてきに、めざめることができる。ゆえ
に、これをみちにたとえて、ぶっきょうでは、しんじることのじゅう
ようせいをうったえ、もとめるこころとしての、きゅうどうしんとい
う。これは、げんじつせかいのげんしょうのちしきだけでなく、じぶ
んのじんせいをいまのうちからかんがえて、しょうらいのために、と
くにじゅうような、じはつてきなもくてきいしきをみいだすためであ
る。